変化に合わせて、変えられる家を 2024.10.08#コラム
長く暮らす家だから、将来の変化を見据えた間取りを考えた住まいにしたくなりますが
将来の変化にとらわれすぎると、中途半端で使いにくいものとなりがちで、実際には難しいもの。
将来の変化を見据えた間取りにするためには、間取りや設備をライフスタイルに合わせて、変えられるつくりにすることが求められます。
具体的には、家を建てる上で必要な耐力壁をなるべく外周に配置し、内部の間仕切りをとっても問題がでにくいつくりにしたり浴室や洗面所などは、配管や防水の問題があり、位置の変更は大掛かりな工事になるので主屋には配置しなかったりなどのアイデアもあります。
子どものいる家庭では成長に応じたライフスタイルの変化が求められます。
兄弟姉妹がいる場合は、いきなりそれぞれに1室ずつ用意するのではなく2部屋分の大きさの1室を共有することから始めると兄弟どうしで折り合いをつけてスペースを使うことを学べます。
そのためには、部屋の入り口を複数つくり、室内に仕切りをつけてもそれぞれが出入りできるようなつくりにするなどの工夫が必要となります。
子どもといっても、生まれてから大人になるまでの20年間をこの住まいで過ごすので、子ども部屋は成長に合わせて柔軟に変化させたいです。
はじめはワンルームで共用していた兄弟の部屋も本棚や洋服入れなどの大きめの家具やアコーディオンカーテン、パーテーションなどを仕切りとして用いて、兄弟それぞれの独立したスペースをつくる時期が来ることでしょう。
また、子ども部屋の出入口は引き戸か、ドアでもガラスリットを入れるなどして、閉めていても閉鎖的すぎないつくりにすることや、部屋を一歩出ればすぐに家族の中に入っていけるような位置に工夫するなど、子どもが一人で過ごせる空間を大切にしながらも家族とのつながりを感じられる間取りにすることでお互いが安心して過ごすことのできる住まいになることでしょう。
さらに、高齢者とともに暮らすこともあるかもしれません。
ですが、生活のすべてを共有することは難しく、生活習慣や生活時間帯などの1日の流れのズレは必ずあるものなので、少し間をおきながらも気軽に顔を合わせられる独立性が高すぎないほどの距離感がお互いの生活に配慮した間取りといえます。
また、長時間家の中にいることが多いため、友人や地域の方など外との交流がうまく運べることや
年齢による体力低下を考慮した部屋の作りにすることが理想的です。
例えば、部屋から外の通りを眺めことができたり、知り合いが訪れやすい間取りにしたり
外部からの介護サービスをうけやすくすることで閉鎖的にならず外とのつながりが生まれやすくなります。
はじめは元気だったお年寄りも年齢を重ねると体力の衰えは必ず起こります。
ですが、自分のことは自分ですることが長生きの秘訣なので、部屋からトイレや浴室に行きやすい構造にしたり、ベッドを置ける広さのある部屋や湿気やにおいがこもらないよう喚起できる部屋などの間取りの工夫、出入口を引き戸にし段差をつくらないようにしたりするなど多くの配慮が考えられます。
長く健康的に暮らせる住まいを建てるには、現状だけでなく10年20年後のライフスタイルの変化に合わせて変えていける間取りや設備にすることが重要となってきます。
そのためにも、子どもの成長や高齢者のこともしっかりと考慮し、家族全員がつながりを持ちながらそれぞれが住みやすい居心地の良い住まいをつくれるようにしたいですね。