セルロースファイバーのメリットとは?適さない状況や導入にあたっての注意点も解説2025.10.20#コラム

「夢のマイホームには高機能なセルロースファイバーを入れてみたい!でも賛否あるみたいだけど、実際のところどうなの?」このように、セルロースファイバーの導入に迷っている方も多いのではないでしょうか。
セルロースファイバーは、断熱性と省エネ効果に優れているだけでなく、音を吸収しつつ遮音する性能まで備えている優れた素材です。数多くのメリットを持つセルロースファイバーですが、一方で見逃せないデメリットもあります。
この記事では、セルロースファイバーの強みやデメリット、強みが最大限発揮されるケースなどを詳しく説明しています。セルロースファイバーの導入を検討している方は、ぜひ記事内容をご確認ください。
Contents
セルロースファイバーとは?
セルロースファイバーは、新聞紙などの古紙の主原料にホウ酸などを添加して作られる木質繊維系の断熱材です。リサイクル素材であるため環境負荷が少なく、エコな断熱材として注目されています。
隙間なく吹き付けて施工することによる高い断熱性と、優れた防音・吸音性は大きな特徴の一つです。
また、木材と同じように湿気を吸放湿する調湿性によって、結露やカビの発生を抑え、住まいの長寿命化にも貢献します。添加されたホウ酸により難燃性と防虫性を備えている点も見逃せないポイントです。
知っておきたいセルロースファイバー5つの強み

セルロースファイバーには素材としての強みがあります。
特筆すべき5つの強みをピックアップしてみました。
- 高い断熱性能と省エネ効果
- 優れた防音・吸音性能
- 湿気を調整する調湿作用
- 火災に強い難燃性
- 人と環境に優しいエコ素材
高い断熱性能と省エネ効果
セルロースファイバーは熱伝導率の低さと隙間のない施工によって、高い断熱性を実現しています。
セルロースファイバー施工独自の「吹き込み工法」により、柱や梁の裏、配管周りといった複雑な構造の隅々まで隙間なく充填されます。
吹き込み施工によって、熱が逃げる「ヒートブリッジ(熱橋)」を防ぎ、家全体の断熱性能が大幅に向上する、というわけです。結果として、冷暖房の効率が良くなり、光熱費の大幅な削減という省エネ効果をもたらします。
優れた防音・吸音性能
セルロースファイバーの優れた防音・吸音性能は、繊維が複雑に絡み合った多孔質な構造から生まれます。
外部の騒音や室内の生活音が繊維の層に入り込むと、音のエネルギーが熱エネルギーに変換されて効果的に吸収・拡散される仕組みです。
一般的なボード状の断熱材と異なり、吹き込み工法で壁や天井に隙間なく充填されるため、音漏れの原因となる穴が発生しません。セルロースファイバー施工によって、外部からの騒音侵入を防ぐだけでなく、家の中での音の反響も抑え、静かで快適な住環境を実現します。
湿気を調整する調湿作用
主原料が木質繊維であるセルロースファイバーは、湿気を吸ったり吐いたりする「呼吸」をします。室内の湿度が高くなると繊維が湿気を吸収し、乾燥するとそれを放出するため、年間を通して室内湿度は快適です。
セルロースファイバーがあれば、壁の中の結露の発生も防ぐことができます。結露は木材の腐食やカビの原因となり、建物の寿命を縮める大きな要因ですが、セルロースファイバーの調湿作用があれば住宅の劣化を抑えることも可能です。
火災に強い難燃性
セルロースファイバーの主原料は木質繊維ですが、製造過程で添加されるホウ酸によって、高い難燃性を持つ素材へと仕上げられています。
セルロースファイバーは、火にさらされるとホウ酸が繊維の表面を覆い「炭化層」を形成します。この炭化層が酸素の供給を遮断することで、難燃性を高めているというわけです。
高い難燃性があれば、火災発生時に延焼を防ぎ、避難時間を確保しやすくなります。防災レベルの高い家を建てる時に、セルロースファイバーの難燃性は大きな力を発揮してくれるでしょう。
人と環境に優しいエコ素材
セルロースファイバーは、新聞紙などの古紙を約80%利用したリサイクル製品でもあります。廃棄物の削減と森林資源の保護に貢献し、製造時のエネルギー消費も他の断熱材と比べて少ないことから、次世代型のエコな素材と言っても差し支えありません。
シックハウス症候群の原因となる有害な化学物質をほとんど含んでいない点も特徴的です。添加されているホウ酸も、人や哺乳類に対する毒性は低いため、アレルギー体質の方や小さなお子様がいる家庭でも安心して使用できます。
セルロースファイバーを導入する際の注意点

セルロースファイバーを導入する際の注意点を4点、ピックアップしました。
- コストはやや高め
- 施工が難しい
- 時間が経つと沈下・性能低下のリスクがある
- 水に弱い
それぞれの詳細を詳しく説明します。
コストはやや高め
セルロースファイバーの主原料は古紙ですが、高性能な断熱材に仕上げるためのホウ酸の添加や、特殊な吹き込み工法が必要となるため、コストはやや高めです。専用の機器や、専門の工事業者が必要になる点がコスト増の要因となります。
初期費用こそやや高めですが、導入後の冷暖房費削減など、費用対効果の高い先行投資という考え方もできます。長い目で見るとセルロースファイバーを使った方が割安になるかもしれません。
施工が難しい
セルロースファイバーの導入は簡単ではありません。専門的な技術が必要とされます。セルロースファイバーの施工に用いられる工法は吹き込み充填です。吹き込みの際は決められた密度と均一性が求められます。
不十分な施工では、断熱性能や防音性能が設計通りに発揮されません。吹き込み密度が低いと、経年により沈下して断熱欠損を起こすリスクもあります。
専用の機械と、高い知識・経験を持った専門の施工技術者の有無は、セルロースファイバーの施工の品質を大きく左右するでしょう。セルロースファイバーの施工を検討する際は、施工実績が豊富で信頼できる専門業者への依頼は必須です。
時間が経つと沈下・性能低下のリスクがある
沈下や性能低下のリスクは、壁への吹き込み密度が不十分な場合に起こりやすい現象です。密度が低いと、自重や振動によって繊維が圧縮され、壁の上部に断熱材が存在しない隙間(断熱欠損)が生じてしまいます。
隙間ができてしまうと熱が逃げたり、音が漏れたりするため、設計通りの断熱性・防音性が発揮できなくなります。性能低下のリスクを回避するためには、決められた高密度でセルロースファイバーを吹き込まなければいけません。
水に弱い
セルロースファイバーは主原料が木質繊維であるため、雨漏りや結露水などで大量に濡れてしまうと、性能が著しく低下してしまいます。濡れた部分が固まったり重量が増して沈下したりすることで、断熱欠損の原因となる他、カビ発生のリスクも高まります。
調湿作用などセルロースファイバーの性能を最大限に活かすためには、建物の設計段階で適切な防水・防湿・透湿対策が欠かせません。
特に壁内への水の侵入を防ぐための、防湿・透湿シートの正しい施工は必須です。
セルロースファイバーのメリットが活かせるケース

セルロースファイバーの特性が求められる状況を紹介します。
- 高い断熱・防音性能を必要としている場合
- 健康や環境に配慮した家づくりを計画している
高い断熱・防音性能を必要としている場合
セルロースファイバーの高い断熱性と防音性は、幹線道路沿いや線路脇といった騒音問題が深刻な立地条件にて大きなメリットを発揮します。
吹き込み工法により、壁や天井の隅々までセルロースファイバーが隙間なく充填されるため、音の入り込む余地を極限まで抑えることができます。
また、繊維の複雑な構造自体が、音のエネルギーを吸収・拡散するため、遮音とともに吸音の役割も果たしてくれる優れものです。高い断熱性で冷暖房効率も向上するため、静けさと省エネを両立したい場合は欠かせない素材となるでしょう。
健康や環境に配慮した家づくりを計画している
セルロースファイバーは、主原料が古紙約80%のリサイクル材です。素材そのものが廃棄物の削減に貢献し、環境負荷を抑えます。
また、シックハウス症候群の原因となる有害な揮発性有機化合物(VOC)をほとんど含まないため、アレルギーを心配する方や小さなお子様がいる家庭でも安心です。
高い調湿作用によってカビやダニの発生を抑えるため、清浄な室内空気環境の維持に貢献します。
セルロースファイバーは、人や環境に優しいエコ素材の一つです。
セルロースファイバーの導入を慎重に検討した方が良いケース

状況次第ではセルロースファイバーの活用をよく検討した方が良いケースもあります。
2つの状況について、詳しく説明します。
- 実績のある施工業者が見つからない
- 初期費用をできるだけ抑えたい
実績のある施工業者が見つからない
セルロースファイバーは、専用の機械を用いて壁内に均一かつ高密度に素材を吹き込む技術が必要です。従来の断熱材のようにボードをはめ込むだけの単純な作業ではありません。
技術が未熟な業者が施工した場合、吹き込み密度が不足して断熱性能が十分に発揮されなかったり、時間が経って断熱材が沈下して隙間ができたりするリスクが高まります。
近隣に確かな技術と実績を持つ専門業者が見つからない場合は、妥協せずに対応できる業者を探しましょう。どうしても見つからない場合は、別の施工方法を考えた方が良いかもしれません。
初期費用をできるだけ抑えたい
セルロースファイバーは、一般的なグラスウールなどの断熱材に比べて、資材費と施工費が高くなる傾向があります。
資材自体にリサイクルコストやホウ酸の添加費用がかかることに加え、均一で高密度にセルロースファイバーを充填するための吹き込み工法を採用するため、工賃も高くなりがちです。
どうしても初期費用を抑えたい事情がある場合は、慎重な検討が必要です。セルロースファイバーの高い断熱性能による長期的な光熱費削減効果と初期費用のバランスは、大事な検討材料の一つです。
まとめ

セルロースファイバーは、性能が十分に発揮できる状況では大いに役立ってくれます。特に断熱性や吸湿性、遮音性においては、最大限のメリットを発揮してくれるでしょう。
一方で、施工が十分になされていないと、性能を十分に発揮することができません。セルロースファイバーの弱点である水に侵されてしまうと、逆にカビの温床になってしまいます。セルロースファイバーの導入には、優れた施工業者が欠かせません。
カワイハウスではセルロースファイバーを標準施工としており、長年の実績による裏打ちされた確かな施工技術を持っています。岡山県近郊でセルロースファイバー施工業者を探している方は、ぜひお声がけください。確かな施工技術で夢のマイホーム建築をサポートさせていただきます。








