冬暖かく夏涼しい家を建てるには?欠かせないパッシブデザインと高気密・高断熱を紹介2025.08.18#コラム

「寒い冬でも厚着をすることなく、暑すぎる夏でもエアコンに頼りすぎない生活を送りたい!」家を建てるにあたって、このような願望は夢物語と諦めている方も多いのではないでしょうか。
昨今の住宅建築技術は目覚ましい進化を遂げており、冬暖かく夏涼しい家はもはや夢ではありません。建物の性能を高めることによって年中快適な室温を維持できるようになっています。
この記事では、快適な住まいを実現するための仕組みや、住むことで得られるメリットについてご紹介します。理想の家づくりを始める一歩として、ぜひお役立てください。
Contents
高気密・高断熱の家なら年中快適な生活を実現できる
冬暖かく夏涼しい家には高気密・高断熱が欠かせません。高気密・高断熱住宅とは、どんな家なのでしょうか。
家の仕組みを詳しく紹介します。
高気密住宅の仕組み
高気密住宅は、壁や床、天井に隙間なく断熱材を施工し、専用の気密シートで覆うことで、外部の空気の侵入を防ぎます。高気密化によって、冷暖房で快適な温度に保たれた室内の空気は外に逃げません。
夏は外の熱気を、冬は外の冷気を遮断します。
また、計画的な換気システムを導入することで、常に新鮮な空気を取り入れながら、室内の温度を一定に保つことが可能です。
高気密化が実現できれば、一年を通して快適な室温を維持でき、冷暖房費の削減にもつながります。
高断熱住宅の仕組み
高断熱住宅は、壁、床、天井、窓に高性能な断熱材やサッシを使用することで、家全体を魔法瓶のような構造に仕上げます。
高断熱化によって、冬は暖房で温められた熱が外に逃げにくく、夏は冷房で冷やされた空気が保たれます。
同時に、外の冷気や熱気も室内に伝わりにくくなるため、一年を通して外気温に左右されにくい快適な室内環境を保つことができる仕組みです。
高断熱化は、結露の発生を抑える効果もあり、建物の耐久性向上にもつながります。
冷暖房の効率向上が期待できる高断熱住宅なら、省エネルギーで快適な暮らしを実現することも夢ではありません。
冬暖かく夏涼しい家に住むメリットとは?

冬暖かく夏涼しい家に住むメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
4つのメリットをピックアップしました。
- ヒートショックの心配が少なくなる
- アレルギーや喘息の改善に効果がある
- 光熱費を抑えられる
- 補助金と税制優遇が用意されている
それぞれのメリットを詳しく説明します。
ヒートショックの心配が少なくなる
冬暖かく夏涼しい家は、家の中の温度差が少ないため、ヒートショックのリスクを減らすことができます。
ヒートショックとは、暖かい場所から寒い場所へ移動する際に、急激な温度変化で血圧が変動し、心臓や血管に大きな負担がかかる現象です。
特に冬場の浴室やトイレで起こりやすく、高齢者に多いとされています。
高断熱・高気密の家は、家全体の温度が一定に保たれ、部屋間の温度差が少ないため、こうした急激な温度変化が起こりにくく、ヒートショックの心配を軽減できます。
アレルギーや喘息の改善に効果がある
冬暖かく夏涼しい家は、高気密・高断熱性能により結露が発生しにくいため、アレルギーや喘息の原因となるカビやダニの繁殖を抑えることができます。
結露は、室内の暖かい空気が冷たい窓や壁に触れて水滴になる現象で、カビの温床です。
また、計画的な換気システムにより、花粉やPM2.5などの外部からのアレルゲンの侵入も防ぎ、常に新鮮でクリーンな空気を室内に保つこともできます。
カビやダニの繁殖が少ない環境は、アレルギーや喘息の症状を持つ方にとって、健康的な生活を送る上で大きなメリットとなるでしょう。
光熱費を抑えられる
冬暖かく夏涼しい家は、高気密・高断熱性能を備えているため、一度調整した空気が外に逃げにくい性質があります。
したがって、冷暖房の効率は通常の家とは段違いです。
外に空気を逃さないため、少ないエネルギーで快適な室温を長時間保つ仕組みを備えています。
そのため、過剰な冷暖房運転が不要になり、電気やガスといった光熱費は普通の家ほどかかりません。
特に、エネルギー価格が高騰する現代において、光熱費を抑えられるメリットは家計にとって大きな助けとなるでしょう。
さらに、太陽光発電システムと組み合わせれば、より高い省エネ効果が期待できます。
補助金と税制優遇が用意されている
冬暖かく夏涼しい家には、国や自治体から様々な優遇制度が用意されています。
代表的なものとして、高断熱窓や高効率給湯器の設置などに対して補助金が支給される「住宅省エネ2025キャンペーン」などがあります。
また、長期優良住宅やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などの認定を取得すると、住宅ローン減税の控除額が増加したり、固定資産税や不動産取得税の軽減措置が受けられる制度も魅力的です。
これらの制度を活用することで、初期費用の一部を賄うことができ、高性能住宅の取得を後押ししています。
自然を取り込むパッシブデザイン

パッシブデザインは、高気密・高断熱と合わせて、快適な住宅には欠かせないものです。
パッシブデザインの特徴や気をつけるべきポイントなどを詳しく説明します。
パッシブデザインとは
パッシブデザインとは、機械設備に頼らず、太陽の光や熱、風といった自然の力を最大限に利用して、快適な住環境をつくる設計方法のことを言います。
冬は日当たりの良い大きな窓から太陽熱を室内に取り込み、夏は庇(ひさし)や植栽で日差しを遮る自然利用がポイントです。
また、窓の位置や大きさを工夫して風の通り道をつくり、自然な換気を促します。
高気密・高断熱の家とパッシブデザインの組み合わせによって、得られた熱や涼しさを逃がさず、冷暖房の使用を減らしながら一年を通して快適に過ごすことができます。
省エネで環境に優しい暮らしを実現する、地球にやさしい家づくりの考え方です。
パッシブデザインの気になるポイント
パッシブデザインを採用する時に気をつけておきたいポイントは次の3点です。
- 間取りやデザインの制限
- 土地の条件に合わせないといけない
- 依頼先がある程度限定される
それぞれのポイントについて詳細を説明します。
間取りやデザインの制限
パッシブデザインでは、太陽の光や風を最大限に活用するため、間取りや窓の配置、建物の向きが重要になります。
冬の日差しを取り入れるために南側に大きな窓を設けたり、夏の強い日差しを遮るために庇(ひさし)を深くしなければいけません。
また、風の通り道を確保するために、窓の位置の工夫も必要です。
パッシブデザインを優先すると、理想の間取りが実現できない場合があります。
土地の形状や周辺環境によっても設計が左右されるため、ある程度デザインも制限されます。
パッシブデザインを採用する場合、できる限り理想の家を実現するために、実績が豊富な設計者やハウスメーカーを選ぶことが大切です。
土地の条件に合わせないといけない
日当たりや風通し、周囲の建物との関係など、その土地が持つ自然環境を最大限に活かすことが前提となるため、パッシブデザインと土地の条件はとても大切です。
例えば、冬に日差しを多く取り込むためには、南側が大きく開けている土地を確保しなければいけません。
また、夏の風を取り込むためには、風の向きを考慮した窓の配置が必要です。
周囲に大きな建物があるとパッシブデザインが難しくなることもあります。
土地選びの段階からパッシブデザインを考慮し、設計者と一緒に現地をしっかり確認することは大切なポイントです。土地の特性を正確に把握することで、より高い効果を発揮するパッシブデザインの家づくりが実現できます。
依頼先がある程度限定される
パッシブデザインの家づくりは、専門的な知識と技術が必要です。どんな業者でも対応できるわけではありません。
パッシブデザインを実現するには、ただ高性能な建材を使うだけでなく、土地の特性を読み解き、太陽や風の動きを緻密に計算して設計しなければいけません。経験豊富な建築家や、断熱・気密性能に精通した工務店、専門の設計事務所などが得意とする分野です。
大手ハウスメーカーでもパッシブデザインに取り組んでいるところはありますが、設計の自由度や地域ごとのノウハウに差がある場合があります。理想のパッシブデザインの家を建てるためには、実績や技術力のある業者を慎重に選ぶことがとても重要です。
効果的な空調管理のためにできること

効果的な空調管理のために、設計段階でできることを2つピックアップしました。
- 間取りを工夫する
- より良い素材を選ぶ
それぞれのポイントについて詳しく説明します。
間取りを工夫する
効果的な空調管理には、家の間取りが重要です。高気密・高断熱の家では、廊下や吹き抜けなどの広い空間を設けても、家全体の温度を均一に保ちやすくなります。
広い空間があれば、冷暖房の効率が向上し、部屋ごとの空調設定を細かく調整する手間がかかりません。
また、リビングとダイニングキッチンを一体化させたLDKのような間取りは、家族がどの場所にいても快適に過ごせるだけでなく、冷暖房の効率も高まります。
一方で、使用しない部屋は扉を閉めて、空調する範囲を限定することで、さらに省エネ効果を高めることも可能です。
間取りを工夫することで、快適性を維持しながら、無駄なエネルギー消費を抑えることが可能です。
より良い素材を選ぶ
効果的な空調管理のためには、家の性能を左右する建材選びがとても大切です。
特に、壁や床、天井に使用する断熱材や、窓に使われるサッシやガラスの素材は、室内の温度を一定に保つ上で大きな役割を果たします。
高性能な断熱材は熱の出入りを大幅に抑制し、二重サッシやトリプルガラスは外気温の影響を減らしてくれるでしょう。
また、断熱性の高い素材だけでなく、調湿効果のある自然素材(漆喰や無垢材など)を内装に使うことで、湿気をコントロールし、ジメジメした夏の不快感を軽減してくれます。
建材の性能を吟味して選ぶことで、冷暖房に頼りすぎず、快適な室内環境を実現が可能です。
より確かな依頼先の選び方とは?

より良い依頼先を見つけ出すには、まず複数社から相見積もりを取ったうえで、提案内容や費用を比較することが大切です。
比較検討する時は、単に価格だけでなく、提案されたプランが自身のライフスタイルや要望に合っているか、断熱性能や気密性能に対する考え方、アフターサービスの体制までしっかりと確認しましょう。
また、会社の施工事例や完成見学会に足を運び、実際の建物の品質やデザイン性を自分の目で確かめることも大切です。
担当者との相性、コミュニケーションも重視すべきポイントです。
疑問や不安に対して丁寧に答えてくれるか、こちらの意図を正確に汲み取ってくれるかなど、信頼関係を築けるかどうかも見極めましょう。
幾つかのポイントを抑えておけば、納得のいく依頼先を見つけることができます。
まとめ

冬暖かく、夏涼しい家を実現するには、高気密・高断熱とパッシブデザインの採用がポイントです。室温を外気に晒すことなく、効率の良い換気システムが実現できれば、年中快適な家を実現できるでしょう。
断熱性の高い素材や、調湿効果の高い自然素材を随所に取り入れることによって、より高い空調性を実現できます。
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